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夏祭りの体験

夏祭りで金魚すくいの屋台を見つけると、つい足を止めてしまう。

水の中を泳ぐ赤や白の小さな金魚。光を受けて揺れる水面。そして、薄い紙が張られたポイ。

別に金魚を飼う予定があるわけではない。それでも見ているうちに、「一匹くらい、すくってみたい」という気持ちが湧いてくる。

この「うずうずする感じ」は、いったい何なのだろう。

金魚すくいで金魚に手を伸ばしたくなるのは、その美しい見た目や、小さく頼りない姿に惹かれ、「この一匹を自分がすくいたい」という気持ちが生まれるからなのかもしれない。

しかし、金魚を持ち帰ってからが大変である。飼うためには水槽を用意し、水質や水温、餌などにも気を配らなければならない。すくった後も、その金魚の命を大切に育てる責任がある。

金魚すくいは、単なる遊びではなく、人が美しいものや弱いものに惹かれ、自分との物語をつくろうとする行動なのだと思う。

その後のことまで考えると、金魚には手を出さず、眺めているだけのほうがよいと感じてしまう。子どもの頃のように、後先を考えず純粋な気持ちで楽しめなくなったことを、少し寂しく思う。

結局、私は金魚をすくわず、しばらく水槽の前で泳ぐ姿を眺める。そして花火を見て帰宅する。そんなことを繰り返しているうちに、今年の夏も静かに終わっていく。